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世羅町にて「世羅荘園能」が開催されました

情報提供日
2022年12月09日(金)
今高野山開基1200年を記念して、世羅町にて「世羅荘園能」が開催され、多くの方が鑑賞されました。

2022年12月4日(日)、世羅能実行委員会主催で「今高野山開基1200年記念 世羅荘園能」が、世羅町のせら文化センター「パストラルホール」で開催されました。 世羅町民のほか、株式会社空・道・港が主催した広島駅発鑑賞ツアー約40名など、約400名が来場し、室町時代(14世紀)に成立し六百年超える歴史を持つ伝統芸能を堪能いたしました。 世羅荘園能には、重要無形文化財保持者の観世流シテ方・吉田潔司先生及び、吉田篤史先生をお迎えし、幽玄な世界へといざなっていただきました。 能の演目は「舎利」。内容は・・・ まず舎利とはお釈迦さんの遺骨を指します。 その舎利にまつわるエピソードがその昔ありました。 釈迦が亡くなり、棺に納められようとしたときに、足疾鬼(そくしっき)という夜叉が釈迦の歯の骨[牙舎利(げしゃり)]を奪いましたが毘沙門の弟で、足の速い韋駄天という仏が牙舎利を奪い返したという伝説が、この舎利の能のテーマとなっております。 舞台は東山の泉湧寺(せんにゅじ)。出雲の国から都見物にやってきた僧[ワキ:旅僧]がやってきて、唐の国から渡ってきたという十六羅漢(16人の悟りを得て人々の尊敬と供養を受ける資格を備えた人)の像や仏舎利を拝観していると、一人の男[前シテ:里人]がやってきて、一緒に舎利を拝みます。 そして、その男は釈迦がおられた時の様子や泉湧寺のすばらしさを謡いますが、どうも様子がおかしいのです! すると突然空がかき曇り、稲妻が光ると、男の顔は鬼となり、自分はこの舎利を欲しがった昔の足疾鬼の執心であると言って、仏舎利を奪い天井を蹴破って空へ飛び去ります。 物音に驚いて駆けつけた寺の男[アイ(狂言):泉湧寺の者]は、僧に「釈迦入滅の時、足疾鬼という外道が釈迦の歯を盗んで飛び去ったが、毘沙門の弟で韋駄天という足の速い仏が取り戻した」と語ります。 そこで、二人して韋駄天にお祈りすると、韋駄天[ツレ:韋駄天]が現れ、足疾鬼[後シテ:足疾鬼]を天上界に追い上げ、下界に追い詰めて、仏舎利を取り返します。 足疾鬼は力も尽き果てて、この場所から逃げ去りました。 世羅町は、駅伝で有名な「広島県立世羅高等学校」があり、「駅伝の町」として知られています。 足の速い韋駄天が登場する「舎利」は世羅にピッタリの演目です。 来場した皆様は能や狂言の世界に魅了され、1日限りの「世羅荘園能」は盛大のうちに終演となりました。

会場となった「せら文化センター」

広島駅出発の鑑賞ツアーのお客様

パストラルホールで、開演を待つお客様

番組最初の仕舞「加茂」

能の前の狂言「仏師」

能「舎利」の詞章

能「舎利」

能「舎利」

能「舎利」